Re: 狩人劇場 【リレー小説を書いています】 ( No.142 ) |
- 日時: 2014/06/01 12:41
- 名前: 村雨丸 ◆1zOjo1E8j6 (ID: sFkZ4.zC)
- >>141続き
油断=死――これはハンターにとって常識の事だ。 しかし、いくら周到にしていても、不確定要素は振り払えない。 その不確定要素を打開できるのは経験に裏付けされた勘と技量。何より――無謀と慎重のバランスだ。 それで言うと、ナナシ――改めジェイドはその二つを持っていた。 だが、これはガンナーと言うパーティーの後方支援に回る者としての勘だが―― 攻撃に時折、迷いや躊躇いがある様に感じられる。 ふと、初めて逢った時の事を思い出す。 ――龍の声を聴く (まさか・・・・・・ね) ディアナの勘は――的中しつつあった。
ジェイドが牽制に徹し、ライオスが決定打の一撃を当てる。このリズムを崩さずに戦っていた。 しかし、それも――ジェイドの精神状態により、崩れようとしていた。 雷刃ヴァジュラを振るい、ヤマツカミの皮膚を切る度に、ヤマツカミの声が、頭の中に響く。 コ ロ シ テ ク レ そう、悲痛な叫びが――聞こえてくるのだ。 ジェイドはこのヤマツカミに始めて逢ったその時から大きな力に苦しんでいたことも、殺して欲しいことも――全て知っていたのだ。 だが、あの時は殺す決心ができず、眠らしておいたのだ。 そして――そのせいでこうなったことも解っている。 (ボクは・・・・・・どうすれば――) その答えは解っている。ヤマツカミがそれを望んでいる。しかし、ジェイドがそれを許容できない。 そんな時だ、ライオスが触手に払われたのは。 カイザーX一式が幸いし、致命傷にはならなかったが、相当痛かったらしく、腹を押さえながら立ち上がる。 「何迷ってるんだ! 速くソイツを殺すんだ! ソイツを生かして、トドメを刺さなかったアンタには責任があるだ!」 ディアナがジェイドの心を見透かしているかのようにそう言うが、ディアナは気付いていた。 まだ、15も超えていないであろう少女だと言うことに――ただ純粋で、龍と人の狭間に生きてる事に。 「また・・・・・・眠らせりゃいいだろ? なあ、ジェイド」 腹を押さえながら、痛みを堪えながらライオスがそう言う。 だが、ジェイドは首を横に振った。 「同じモンスターに同じ音は聴かないんだ」
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