Re: 狩人劇場 【リレー小説を書いています】 ( No.144 ) |
- 日時: 2014/06/09 20:08
- 名前: 村雨丸 ◆1zOjo1E8j6 (ID: fqQubE28)
- >>143
暗がりから一転の光が見える。 あの先には、やらなければならない事が残っている。 その光に意識を向け、その光へ走り出す。 ――刹那。リオウの身体に紅い雷が一つ、落ちた。 リオウはその雷を全身で浴び、漆色のその髪は、まるで脱皮をしたかの様に、純白のそれに変わり、首程しかなかった髪が、腰の辺りまで一気に伸びた。 琥珀の眼は、先程の雷と同じ、真紅色のそれだった。 そして、天上天下天地無双刀【業炎爆雷ノ型】を、片手で抜刀する。 両手で持ってやっと扱える重さであるのは、リオウでさえそうだったが――今は違う。 片手剣でも振るうかのごとく、軽々と片手で取り回せるのは、その内側に秘めた力のおかげでもあった。 龍属性を纏うその刃に、さらに紅い雷が走る。 「これで終わりだ! 喰らうが良い。――神の裁きを!」 天上天下天地無双刀【業炎爆雷ノ型】を縦へ振り下ろす。 すると、龍属性を纏った紅い雷の斬撃が、その大地を砕きながら走り、オオナズチに襲い掛かる。 オオナズチはと言うと、プレッシャーを感じているのか、みじろき一つせず、それが直撃した。
そのオオナズチは、真っ二つに引き裂かれ、それぞれがバランスを失い、倒れこんだ。 リオウは、力の反動か、身体に激痛が走り、気を失った。
――同じ音でしか効果がない。 その笛が発する音は、元来散り逝く命に奉げるものだ。 モンスターを眠らすのは、そのうちの一つの面を使ったに過ぎない。 あの笛には、もう一つの旋律が隠されている。 後は――それを行動に移すだけだ。 後は行動するだけなのに―― 常に最後のところで決心を鈍らせる。 (ボクは・・・・・・ボクは・・・・・・) 震える手から、雷刃ヴァジュラに似た片手剣が滑り落ちる。 「もう・・・・・・覚悟を決めな。本当は、自分自身でもそうしようと思っているはずだ――大丈夫。自分一人でで重いなら、分ければいい。私もそれを背負うから・・・・・・」 一人で重いなら分ければいい―― 人と龍の境界面に身を置き、4年の空白を経たジェイドは、その境界面としての役目背負うには、余りにも幼く、脆く、そして純粋だった。 彼女は人と龍の境界面である以前に、15歳もいかない少女であった。 それも―4年と言う空白のため、純粋で、脆弱な心を持った。 その事をディアナは見抜き、その言葉をかけた。 その言葉は、ジェイドの心に確かな変化を齎せた。 (一人で重いなら分ければ良い・・・・・・) その言葉を心の中で反芻させ、その意味を噛み締める。 やっと――決心が付いた。 落ちた雷刃ヴァジュラをもう一度手に取り、柄にキリンの蒼角の笛を合体させ、横笛として、吹く。 ヴァジュラの刀身に、穴が開いてあるのはこの為で、それをする為に形が微妙に変わっていたのであった。 その笛の音が一つ一つ繋がりを持ち、やがて一つの旋律となった。 その音は静かに安らぎを与えるような音色ると同時に、どこか――哀しい。 その旋律は、ヤマツカミに対して送る、レクイエムの様でもあった。 旋律を奏でる度に、雷刃ヴァジュラの刀身に、雷が宿り、やがて雷を束ねた刀となった。 「ヤマツカミ・・・・・・もう、終わりにしよう」 そう言い、雷を束ねた刀を構え―― 一閃。 その一閃をし、ヤマツカミの皮膚に触れた瞬間、 ア リ ガ ト ウ そう、長年の呪縛から解き離れたかのような、嬉しそうな声でそう言った。 勿論。それがディアナやライオスに聞こえる訳では無いが、それは確かにジェイドの心に響いたのだ。 ジェイドの真紅の瞳から、大粒の涙が零れ落ち、その場でしゃがみこみ、泣き続けた。 こうして、ヤマツカミの事件は、一件落着した。
その日の夜、少女は夢見た。 場所は古塔で、そこにはテオ・テスカトルと――太刀を構え、テオ・テスカトルと相対している者がいた。 その顔が、やけにリオウに似ていた事が、嫌に印象的に残った、不思議な夢だった――
〜2日後〜 リオウはドンドルマの医療室で目覚めた。 「やっと目覚めたんだね・・・・・・内側から大きな力が加わって血管の一部がそれに耐え切れずに切れてるんだ。もう少し安静にしていた方が良い」 そう医者に言われ、確かに右腕に激痛が走るのを、リオウは感じた。 その激痛を堪え、周りを見渡すと、ディアナ、ライオス、そしてジェイドがいた。 「お、リオウ・・・・・・やっと目覚めたか・・・・・・腹減ってるだろ? ディアナが焼いたパンだ。ちゃんと食っとけ。美味えぞぉ?」 そう言って、パンが3個入ったバスケットを渡してきた。 「あ、そうそう。君リオウと言ったっけ。手紙が来てるよ」 そう言って医者は、リオウに羊皮紙を渡す。
やっほ〜い。 リオウ君元気かなぁ〜? えっ!?私は?って? そりゃあモチロン龍撃砲撃てちゃうくらい元気バリバリだよッ♪ たまには私の所へ帰ってきなよぉ〜 フカフカの布団ちゃ〜んと用意できてるからさぁ〜 まあ、ここからが本題だけど・・・・・・ちょっと面白い物解読できちゃってさぁ〜 今起きてる異変にバッチシ関係のある事なんだ♪
・・・。 その手紙の内容を読んで――文字通りリオウが固まった。 それから暫く経つと、リオウの硬化状態が解け 「・・・・・・どうやら姉さんの所に行かなくてはなりませn・・・・・・皆さんも勿論付いてきますよね?」 全員がそれに頷くわけではなかった。 「行くっていっても・・・・・・場所はいったいどこなんだ?」 ライオスが何と、まともな事を言ったのだ。 「「場所はバチュバトム樹海。通称〈樹海〉と呼ばれる場所」です」
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