Re: 【雑談みんなでしましょう】ついに【2代目!】 ( No.131 )
日時: 2010/01/11 14:17
名前: ベルキュロス (ID: 6zGd9BBg)
参照: PSPでやるときとPCでやるときがある

テオ物語

これは、大塚角満のゲームを読む! 大塚角満さんのブログの中のコラムをまとめた「本日もサヨナラ!逆鱗日和」に収録されてるものです。

勝手にコピペしてしまって申し訳ありません。
でもとてもいいものなので載せます。

 目が覚めると、僕はテオ・テスカトルになっていた。

 すぐには気づかなかった。いつものように朝8時半のアラームで目を覚まし、布団を跳ねのけて起きようとしたのだが身体に布団がかかっていない。アレ、おっかしいな? と思って身体を見るとどうしたことか、寝るときにいつも着ているパジャマがいつの間にか赤い毛皮になっている。うーん、なんでだろう。もしかすると夕べは冷え込むという話だったから、僕が寝ているあいだに母さんが、フカフカの毛皮を着せてくれたのだろうか? ウチの母さんは心配性だからあり得ないことではない。ああ、そうか。この毛皮が暑くて、布団を跳ねのけてしまったに違いない。なーんだそうか。謎が解けた。

 疑問が解決したおかげですっかり目が覚めた僕は、いつものように腹筋運動の要領で元気に起き上がろうとした。ヨイショ……っと。……あれ? なんか起き上がれないぞ。僕はこう見えて毎日ハンドボールで鍛えているので運動能力には自信があるのだ。それがなぜ、たった1回の腹筋もできないのだ。……まあいまのはタイミングが悪かったんだろう。でも腹筋のタイミングってナンだ? まあいいや。ヨシ、気を取り直してもう1回……。ジタバタジタバタ。むむむ。手と足が虚空でムナしく泳ぐだけだぞ……。こいつはもしかすると、昨日部活に精を出しすぎたので、全身がひどい筋肉痛になっているのかもしれない。じゃないと、いまの無様な様子の説明がつかないではないか。そうだそうだ。そうに決まってる。となると無理して腹筋で起きずに、両手をついてからゆっくりと起きよう。ははは。まるで赤ちゃんだなボク。ああ、こいつは楽チンだ。両手をついて、両足をついて……。うん、人類の基本は四つんばいだからな。スフィンクスも言ってるじゃないか。人間は最初は四つんばいでつぎは2本足になって、最後は杖をつくから3本足って……。我ながら意味がわからないナ。ははは……。なんか混乱してるよ。だっていつの間にか、両手と両足に大きな蹄のついたスリッパを履いてるんだもの。これも母さんの仕業かな……? いつこんなゴツいスリッパを買ったんだ……? しかもなぜそれを、夜中に僕に装着を。まあでも履いているものは仕方ない。立ち上がってから外そう。ヨイショっと……。

 「バオオオォォォォオオオ!!」

 って、何を吠えてるんだボクは!! 立ち上がろうとしたときの条件反射でナゾの咆哮をしちまったよ!! あ! ホラみろ母さんが「手雄ちゃん、何さわいでるの!」って言ってるじゃないか! 「何でもないよー」って言わないと言わないと!

 「バオバオバオオオ!!」

 な、なんか喉の調子が極めつけにおかしいナ……。まるで野獣みたいな声だ。やっぱり夕べの冷え込みで風邪を引いたのだろう。そういえばなんかやたらと熱っぽいし……。こいつはどうやら本格的に病気みたいだぞ。ああ……、咳が出そうだ。ごほんごほん!

 ボワンボワン!!

 い、いまなんか口から火の玉が出たような……。き、気のせいか……。空気が焼けるような臭いがするけど、こ、これも気のせいだろうか……? あああ、しかし熱っぽい。こいつは40度くらい熱がありそうだぞ。よわったな。学校に行けるかな。……あ、今度はクシャミが出る。ハ、ハッ……って出なかった。あー気持ち悪い。クシャミが途中で止まるのって、ものすんごいストレスだわ。しかしいまクシャミが出そうになったとき、身体のまわりにチラチラと赤い火の粉みたいなものが舞って見えたんだけどありゃなんだ? ……ああそうか。熱っぽいから目蛍が見えたのか。こいつはいよいよヤバそうだ。あ、クシャミが。……ハ、ハッ、ハックシュン!!!

 ボボボボボン!!!

 うっは!! なんだこのすさまじい威力のクシャミは!! 人間兵器かボクは!! 部屋の中にあったものが瞬時に消し飛んじまったぞ!! 母さんに怒られる!! ……ホラみろ! 部屋のドアがドンドンと叩かれてるじゃないか!! 母さんだ!! 「ちょっと手雄ちゃん!! 何やってんの!!? 部屋に入るわよ!!」だって! 開けないで開けないで!!

 「バオオオオオオバオバオオ!!!」

 うわーもう、混乱しているせいで何言ってるか自分でもわからない! とりあえずドアを押さえないと!! 走ってドアに向かって……。

 ボカーン!!!

 うわ! 勢い余って四つんばいのままダッシュしてドアをブチ破っちまった!! ……って、母さん大丈夫!?

 「グルルルル……。バオオオォォ!!」

 あれ? なんか母さん、固まってるんですけど。どうしたの? そんなにボクの顔をジーっと眺めて。大丈夫?

 「キャーーーーー!!! テオ・テスカトルが侵入してるーーー!! たすけてーーー!!」

 母さんの悲鳴にキモを潰した僕は、ほうほうの体で自分の家を飛び出した。テ、テオ・テスカトルが侵入したって? 何のことだ……? しかしなんでボクは、四つんばいのまま走ってるんだ……?

 こうして、僕のテオ・テスカトルとしての新たな人生(?)が始まった−−。

 ……続く?(笑)