Re: 【雑談みんなでしましょう】ついに【2代目!】 ( No.139 )
日時: 2010/01/11 14:32
名前: ベルキュロス (ID: 6zGd9BBg)
参照: PSPでやるときとPCでやるときがある

>>136

作は僕じゃないので。
とりあえず、「大塚角満のゲームを読む!」よりと、しておいてください。じゃあ、続き。

テオ物語最終章(後編)



 「手雄ちゃーーーーん!!」

 ……ん? なんかボロボロになった人間の女が、こっちに来ようとしている。ハンターか? いや、それにしちゃみすぼらしいな。武器も防具も身につけていねえ。泣きながら、なんかわめいていやがるし。誰だこいつは。……でも、どこかで見たことが……。

 「あなた、手▲ちゃ※なんでし×%? お母さ$#よ! わ△※るでしょ!?」

 なんだ? 何を叫んでるんだ?

 「お母&$んにΩ!@るのよ! さあ、帰◆□ま※ょう。あな×が○母さん※◆である%&は間違い#+んだから! さあ!」

 ぐがぁぁああ……。何を言ってるのかさっぱりわからねえけど、なぜかあの女の声を聞くと心が痛い……。で、でも思い出せねえ……。絶対に、見覚えも聞き覚えもあるのだが……。ああああ……誰なんだ……。……あれ? 泣いているのかオレは。炎王龍、テオ・テスカトルともあろうものが、なんで涙を……!!

 グガオオオオォオオオォォォ……!!

 俺は人間の女に向かって猛然と突進した。まるで子供が母親の胸に飛び込んでいくかのように。そして人間の女は、駆けてくる子供を受け止めるようにかすかな笑顔を浮かべて、手を広げて待っている。怖くないのか? テオ・テスカトルだぞ俺は!!

 そのとき、一陣の風が吹いた。火山に風が吹くなんて、珍しいことがあるものだ。その風に乗って、人間の女から懐かしい匂いが漂ってくる。ああ……この香りは……。ずっと昔にお母さんに抱きしめられたときに嗅いだのと、同じ匂いだ……。歩みを止め、クンクンと空気の匂いを嗅ぐ俺。そんな俺に向かって、人間女が叫んだ。

 「手雄ちゃん! そうよ! 私はアナタのおかあさんなのよ!!」

 さっきまで何を言っているのかわからなかったが、いつの間にか人間が話す言葉の意味がわかるようになってきた。お、お母さんだって? この人間が? どうやってボクを産んだんだ……? ボクはだんだんわけがわからなくなってきて、小さな声で「ぐ、ぐるるるる……」とつぶやいた。そんなボクに無遠慮に近づいてきたおばさんは「熱っ!」と小さく悲鳴を上げたあと、ちょっと睨むような目をして鋭く言った。

 「まあ! 手雄ちゃん、熱があるじゃないの!! 火山の夜は冷えるのよ。さあさあ、早く家に帰って、布団に入って寝なさい! あなたの布団、燃えちゃったけど、まあいいわ。さ、帰るわよ!」

 お母さんは毛むくじゃらのボクの手を取ると、海辺へ向かって強引に歩き出した。お母さんは昔から、ちょっと自己中心的なところがある。仕方ない。逆らっても始まらないから言うとおりにするか。

 そのとき、我々の安っぽいホームドラマを呆然と見ていたナナ・テスカトリが猛烈な勢いで怒り出した。

 「ちょっと!!!」

 とナナは吠えた。さっきまでのかわいらしい表情がウソのように、その顔は怒りに燃えていた。

 「あんたマザコンだったの!!? さっき結婚したばかりだってのに、なんなのこの仕打ちは!!!」

 うはあ……。面倒なことになったなあ。ナナのまわり、炎が舞ってるよ……。相当怒ってるなこいつ……。ボクは辟易としながら、新妻に猫なで声を出した。

 「まあまあ……。ナナちゃん堪えてよ。お母さんが強引だってことは話しただろ? うまくやってくださいよ。これから長い付き合いになるんだから……」

 これを聞いたお母さん、烈火のごとく怒り出した。

 「ちょっと手雄ちゃん。強引ってどういうこと? お母さんはよかれと思ってやっているのよ。それに何よ、このアバズレは。口の聞きかたも知らないのね。お母さん、こんな女との結婚を許した覚えはありませんよ。すぐに別れなさい!!」

 お母さんの舌鋒にもひるまず、ナナがやり返す。

 「お母さん!! いいい、言っていいことと悪いことがあるんじゃないですか!? よよよ嫁に向かってアバズレなんて!! ひどいわ!! ねえ、テオ!! あなたどっちの味方なの!? あたしなの? お母さんなの!?」

 まったくこれだから女は面倒なんだ……。もうどっちでもいいよ……。

 夜の火山にはいつまでも、女ふたりの怒声と泣き声が轟いていた。こんなことで、うまくやっていけるのかなぁ、ボク……。


終わり‥‥‥ですけど、「本日もサヨナラ!逆鱗日和」の中にはここよりも先のことが書かれています!それを次に!