Re: 狩人劇場 【リレー小説を書いています】 ( No.172 )
日時: 2015/08/20 16:05
名前: 狛犬 ◆naAqV94LaU (ID: 3QlISV1J)

>>171
「俺が奴さんをひきつける。だから、攻撃に専念しろよ」
「・・・・・・普通は、逆なんですけどね。武器の性質上」
「仕方ねえだろ。オマエの攻撃じゃねえと決定打にならねえし。俺の大剣無属性だからな」
このくらいで作戦会議を終了し、実行に移る。
ライオスは完全にリオウの動きに合わせ、攻撃を繰り出す。
普通にやっていたのでは攻撃が通じず、囮役の前問題で相手にされない。
ならば――リオウの攻撃をなぞる様に攻撃すれば良いだけのことだ。
だがそれは、思うほど簡単ではなく、少し位置がずれてしまえばあの甲殻に弾かれてしまう。
片手剣や双剣でははまだしも、大剣でそのような精密な攻撃を行えるのは世界広しといえど、限られた人数だけだろう。
テオは劣勢を悟ったのか周囲に粉を撒き散らした。
「マズイぞリオウっ、距離を取れ!」
そして――
牙をカチンと鳴らし、テオの周りで爆発が起きた。
炎を自在操る古龍、テオ・テスカトルの御家芸である粉塵爆発だ。
俺とリオウはギリギリのとこで有効射程範囲外に出られ、くらうことは無かった。
しかし・・・・・・その直後の突進を、とっさの判断で大剣でガードした。
その時、ピキッと――何かが欠けるような音がしたが、気にしてる暇はない。
その時だった。リオウが再び俺の背中を踏み台に跳躍し、テオの後ろに回りこんだ。
「テメッ・・・・・・俺を踏み台にしたなっ!」
そう叫んだがリオウは意に返さず、着地した状態から抜刀術の構えに移る。
だがその抜刀術はいつものそれとは違い、鞘から抜いた瞬間、夥しい量の龍属性の雷が文字通り開放され、それがまるでテオ・テスカトルを食い破るように襲う。
流石に――これには耐えられねえだろ・・・・・・
だが・・・・・・テオ・テスカトルはまだ立っていた。あれだけの攻撃をくらいながら、未だに。
だが、それもリオウの一閃により、地に伏した。
「おい、リオウ・・・・・・やったのか?」
「はい。やりました。ですが・・・・・・」
そこまで言ったとこで根元からポッキリと折れたもう一本の刀を見せた。
「この通り、武器の方もお釈迦になりました――誰だ! 姿を見せろ!」
リオウがそう叫ぶと物陰からある人物が現れた。
「流石は、龍殺しを継ぐ者・・・・・・最初からバレてましたか」
そう言った人物は――
「お前は・・・・・・あの時の伝令役!」
「ははっ。覚えてましたか。まあ、良いでしょう。しかし――」
そう言いながらテオの死体へと近づいた。
「・・・・・・ダメじゃないか。こんな中途半端に覚醒させちゃあ――キッチリ殺すかキッチリ覚醒させるかどっちかにしてくれ」
「オイ、お前。何いってるんだ!? もっと解かりやすく――グフウッ」
肩を掴み、問いただそうとしたライオスの腹にパンチを入れて無理矢理黙らせた。
「全く。こっちは取り込み中なんだ。少しは静かにしてくれ・・・・・・殺したくなってしまう。まあ、いい・・・・・・テオ・テスカトルよ。お前の本当の力を目覚めさせてやろう――」
そう言って、伝令はテオに手を翳し、何かを唱える。
「今度はちゃんと仕事してくれよ」
そう言って崖へ飛び降りた。すると、どこから来たのかクシャルダオラが現れてその人物はクシャルダオラに跨った。
その瞬間、テオの周りに炎の嵐が起きた。

その頃、来た道を引き返し、リオウ、ライオスと合流を図っていた私達は道中、爆音を聞いた。
あれは――外の方からだ。
(大丈夫・・・・・・だよ、ね?)
私の中で、ある嫌な予感がした――

そのディアナの嫌な予感が的中していた。
炎に包まれたテオが立ち上がり、やがて大きな爆発と共にその姿を現す。
ズタズタに引き裂かれた翼は一回り大きくなり、翼膜はより赤みを増し、甲殻は赤熱し、その隙間の随所からは度々炎が噴き出していた。
それに対して僕達は、ライオスさんはこれの前の状態ですらマトモにダメージを与えられなかった。何より、唯一決定打となっていた僕の武器は二つとも砕け散った――
どう見積もったとこで焼死体になる以外無い。
いや、何か、方法がある筈だ・・・・・・
そう思い、僕は意識を集中させる。
僕の中に眠る、力を呼び覚ます為に・・・・・・
『・・・・・・やっと、俺を呼ぶ気になったか』
「その前に、一つ聞かせてください」
『――言って見ろ』
「お前は・・・・・・何者だ。おかつて、力と自らを称した。ならば――その力とは何なのだ」
『龍帝――人の身でありながら龍に最も近い存在。その写し身だ』
そして、意識が現実へと戻る。
捨てた疾風流水ノ型の柄を拾い上げ、折れた業炎爆雷ノ型へと合わせる。
その瞬間、合わせた刀が紅い雷を纏い、二つの折れた刀が一つになりながら紅い雷の刃を形成していく。
そして――紅い雷が一つ僕に落ちる。

俺は、その目で確かに見た。
リオウに紅い雷が落ち、その姿を変えるところを。
リオウはその雷を全身で浴び、漆色のその髪は、まるで脱皮をしたかの様に、純白のそれに変わり、首程しかなかった髪が、腰の辺りまで一気に伸びた。
琥珀の眼は、先程の雷と同じ、真紅色のそれだった。
その姿は、古き伝承に伝わる祖たる龍のそれに映った。